「お姉ちゃんはもっとできたよ」「弟のほうが早いね」——きょうだいがいると、つい比べてしまいます。しかしきょうだい比較は、子どものやる気を最も奪う言葉の一つです。塾でも、比べられて育った子ほど自信をなくしているケースをよく見ます。保護者の方からよく受ける相談に沿って答えます。
Q. 「お姉ちゃんはできたのに」とつい口に出てしまいます。そんなにいけない言葉でしょうか?
比べられた子は「自分はダメだ」という気持ちを持ちます。さらに、比較された相手(きょうだい)への対抗心や嫉妬も生まれ、家庭の関係も悪くなります。勉強へのやる気を出させるどころか、勉強そのものを嫌いにさせてしまうのです。常に比較されて育った子は失敗を過度に恐れ、挑戦を避けるようになります。口に出す前に一呼吸おき、「この子のいいところは?」と考える習慣をつけると、比較の言葉は自然に減っていきます。
Q. 上の子が同じ学年のころより、下の子の進みが遅くて心配です。
同じ親から生まれても、得意なこと・伸びる時期は一人ひとり違います。早く歩き始める子、言葉が早い子、じっくり考える子——学習も同じです。上の子と同じペースを下の子に求めるのは、その子の個性を否定することになります。「あなたはあなたのペースでいいんだよ」と伝えられた子は安心感を持ち、失敗を恐れずに挑戦できます。
Q. 比べること自体をやめなければいけませんか?
比較が全部悪いわけではありません。比べる相手をきょうだいではなく「過去のその子自身」にするのです。「先月より漢字が読めるようになったね」「前は苦手だった計算が速くなったね」——自分の成長を実感できる言葉が、次のやる気につながります。「去年よりできるようになったこと」に目を向ければ、きょうだいと比べる必要はなくなります。
Q. 下の子は上の子ほど勉強が得意ではありません。どう励ませばいいですか?
上の子は国語、下の子は算数、というように、それぞれの得意を認めてあげてください。漢字が得意な子、計算が速い子、迷路やパズルが好きな子——強みを伸ばすほうが、苦手の克服より子どもは自信を持ちます。
Q. 下の子が上の子に対抗心を燃やしています。放っておいていいですか?
本人が自分から目標にするのは健全なことです。親が比較で煽るのとは別物なので、その頑張りを応援してあげてください。
Q. きょうだいがいると、一人ひとりに向き合う時間がとれません。
短い時間でも「その子だけ」と過ごす時間は、子どもの自己肯定感を大きく育てます。上の子と二人で買い物に行く、下の子と一緒に本を読む——特別なことでなくても、「あなたを見ているよ」というメッセージが伝わります。子どもが本当に求めているのは、きょうだいより優れていることではなく、ありのままの自分を認めてもらうことです。比較で追い立てるより、一人ひとりと向き合う時間のほうが、ずっと子どもを伸ばします。