「早くやりなさい」と言えば言うほど動かない。宿題をめぐる家庭のバトルは、どこの家でも起きています。塾で保護者面談をしていて分かったのは、宿題に取りかかれない子の多くは怠けているのではなく、始め方が分からないということです。面談でよく受ける相談の形で答えます。
Q. 小3の息子に「早くやりなさい」と何度言っても始めません。怠けているのでしょうか?
怠けではなく、始められない理由があるのがほとんどです。①量が見えない:何がどれだけあるか把握できていないと、脳は「大きすぎる塊」と判断して回避します。②完璧を求めすぎている:きれいに書けない・間違えるのが怖い子ほど、始めるハードルが高い。③終わりが見えない:終わったら何があるのかが分からないと、動機が生まれません。「早くやりなさい」はこの3つのどれにも効かないので、言う回数を増やすほど逆効果になります。
Q. では、何と声をかければ動くのでしょうか?
「早くやりなさい」→「何から始める?」。指示ではなく選択を渡すと、子どもは自分で動きやすくなります。「全部やりなさい」→「まず5分だけやってみよう」。始めてしまえば続く(作業興奮)ので、着手のハードルだけを下げるのがコツです。「まだ終わってないの?」→「ここまで進んだね」。進捗を言語化すると、残りが具体的になります。それでも動かないときは「一緒にやろうか」と最初の一歩に付き合うと、その後は自分で進められることが多いです。
Q. 声かけを変えても、毎日言わないと始めません。言わなくても動くようになりますか?
声かけより効くのが仕組みです。時間を固定する(夕食前・お風呂の後など、毎日同じタイミング)、タイマーを使う(5分だけ、と決めて開始)、やることを紙に書き出して消す(量が見えて達成感も出る)。うちの塾では、この3点セットで家庭学習が回り始めた子を何人も見ています。終わったら好きなことをする、という順番も決めておいてください。慣れてきたら「今日の宿題、いつやる?」と本人に決めさせると、やらされる宿題から自分でやる宿題に変わっていきます。
Q. 宿題に時間がかかりすぎます。1時間たっても終わりません。
分からなくて止まっているのか、集中できていないのかを見極めましょう。前者なら教える、後者なら短い休憩を挟むなど、原因に応じた対応を。親が横で見張るより、環境とリズムを整えるほうが長続きします。
Q. 宿題のほかに家庭学習もさせたいのですが、かえって嫌がりませんか?
1枚が5〜10分で終わるプリントなら、「小さく始める」仕組みにそのまま乗せられます。計算や漢字を1日1枚、同じ時間に。終わったらカレンダーにシールを貼ると、続けること自体が目的になります。家庭学習の習慣づけもあわせてどうぞ。
Q. ごほうびで釣るのは良くないですか?
短期的には有効ですが、物より「一緒に喜ぶ」が長続きします。