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くり上がり・くり下がりでつまずく理由|「10のまとまり」から立て直す

小1〜小2・算数公開日:2026-10-17更新日:2026-10-17執筆:学習塾講師

9+4、13−8。大人には一瞬の計算ですが、小学1年生にとっては入学後最初の大きな山です。「指を使えばできるけれど、時間がかかる」「答えが1つずれる」「ひき算になると急に手が止まる」。こうした様子が見えたら、それは計算の練習量が足りないのではなく、10のまとまりの見方がまだ育っていないサインです。この記事では、つまずきの正体と、家庭で順番に進められる練習法をまとめます。

つまずきの正体は「数え足し」から抜け出せないこと

くり上がりのないたし算(3+4など)は、指で「4、5、6、7」と数えても解けます。ところが8+7になると、指が足りなくなったり、数えている途中でどこまで進んだかわからなくなったりします。答えが14や16になる「1ずれ」は、たいてい数え始めの位置のミスです。

学校で教わるのは、数えるのではなく10をつくって考える方法です。8+7なら「8はあと2で10。7を2と5に分けて、8と2で10、10と5で15」。この考え方を支えているのが、1年生の最初に学ぶ「いくつといくつ」——つまり10の合成・分解です。くり上がりで止まる子の多くは、この「10は8と2」「10は6と4」がまだ即答できていません。土台がぐらついたまま上の階を建てようとしているので、くり上がりの練習だけを重ねても伸びにくいのです。

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くり下がりのひき算がさらに難しい理由

ひき算のくり下がりは、たし算よりも手順が1つ多くなります。13−8を学校で習う「減加法」で考えると、「13を10と3に分ける→10から8をひいて2→2と3で5」。分ける・ひく・たすの3動作が必要です。もう1つの「減減法」では「8を3と5に分ける→13から3をひいて10→10から5をひいて5」となります。どちらも、やはり10を分ける力が前提です。

家庭で教えるときは、学校のノートや教科書で使っている方法に合わせてください。お子さんが混乱する一番の原因は、学校と家で別のやり方を教わることです。まずは「学校ではどうやって考えてる?」と聞いて、やり方を説明してもらうところから始めると、親子のずれが起きません。

家庭での4ステップ練習法

ステップ1:10の合成・分解を即答にする。「10は7と?」「3」のように、親が言った数に対して10になる相手を答える遊びです。1と9から9と1まで、口頭で1日1分。指を使わず2秒以内に言えるようになったら次に進みます。おはじきや10円玉を10個並べ、片手で一部を隠して「隠れているのはいくつ?」と聞くのも、見た目で10のまとまりをつかむのに役立ちます。

ステップ2:「あといくつで10?」を言う練習。9なら1、8なら2、7なら3。たす数を分ける前に、まず相手の数に目を向ける習慣をつけます。ここまでできれば、くり上がりの半分は終わったようなものです。

ステップ3:声に出して手順を言いながら解く。9+6なら「9はあと1で10。6を1と5に分ける。10と5で15」。最初はゆっくりで構いません。言葉にすると、どこで迷っているかが親にも見えます。慣れてきたら声を小さくし、最後は頭の中だけで唱えられるようにします。ひき算も同じで、14−9なら「14を10と4。10から9をひいて1。1と4で5」と唱えます。

ステップ4:まぜて出して、即答に近づける。9+□、8+□のように同じ形が続くと解けるのに、まぜると止まる子は少なくありません。たし算だけ・ひき算だけで安定したら、両方をまぜたプリントで仕上げます。目標は、1けた同士のくり上がり・くり下がりを指なしで答えられることです。

2年生の筆算につなげるために

2年生では、28+47や52−27のような2けたの筆算を学びます。ここでのつまずき方は1年生の延長です。一の位の8+7=15を書いた後、十の位にくり上がった1を足し忘れる。2から7がひけずに、7−2と逆にひいてしまう。こうしたミスの根っこは、15を「10と5」と見る力、12を「10と2」と見る力にあります。

筆算の練習では、くり上がりの1を書く場所を決めておくと、書き忘れが減ります。くり下がりは、十の位の数字に斜線を引いて1小さい数を書く、と手順を目に見える形にしておきましょう。「書いたら使う」をセットにするのがコツです。

声かけで気をつけたいこと

指で数えている姿を見ると、つい「指を使わない!」と言いたくなります。けれど、指は数を確かめるための大切な道具でもあります。いきなり禁止するより、ステップ1と2で10のまとまりが身につくと、指は自然に出番が減っていきます。指を使ったら「どうやって数えたか教えて」と聞き、考え方を言葉にさせるほうが前に進めます。

また、時間を計る練習は、手順が安定してから取り入れてください。手順があやふやなうちに速さを求めると、あてずっぽうの答えが増えてしまいます。まず正確に、次に速く、の順番です。

よくある間違いと、その場での直し方

練習中によく見かける間違いを3つ挙げます。1つ目は答えが1ずれる(8+5を12や14と答える)。指で数えるときに、8から数え始めてしまうのが原因です。この場合は「8はあといくつで10?」と聞き直し、ステップ2の手順に戻します。2つ目は分ける数を間違える(7+6で、6を4と2に分けてしまう)。7があと3で10になることが即答できていないサインなので、10の合成の練習をもう一度短く挟みます。3つ目はひき算で、ばらの数どうしをひこうとする(13−8で「3から8はひけない」と止まる、または8−3=5と逆にひいて正解してしまう)。たまたま答えが合っても考え方が違うと、2けたになったときに崩れます。「13を10と3に分けて、10から8をひくんだったね」と、正しい手順を声に出してもう一度なぞってください。

間違いを見つけたら、赤で×をつけるより、「どこまでは合ってた?」と一緒に手順をたどるほうが効果的です。どの段階で迷ったかがわかれば、戻る場所もはっきりします。1日に解く量は、10問程度で十分です。量を増やすより、毎日少しずつ続けるほうが、10のまとまりの感覚は確実に育ちます。

まとめ:近道は「10をつくる力」を戻って固めること

くり上がり・くり下がりは、この先のたし算・ひき算の筆算、かけ算の筆算、さらには暗算のすべての基礎になります。つまずいたときは、くり上がりの問題をたくさん解くより、一段戻って「10はいくつといくつ」を即答にすることが一番の近道です。まずは今日、「10は6と?」のクイズを1分だけやってみてください。

この記事で使うプリント

10の合成・分解はかずの練習プリントの「いくつといくつ」で。1けたのくり上がり・くり下がりは計算プリント(たし算・1けた)とひき算・1けた、2年生の筆算は筆算プリントで練習できます。

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