「うちの子、時計が読めないんです」。実はこの相談、年々増えています。理由ははっきりしていて、生活の中からアナログ時計が消えたから。スマホもタブレットも車のパネルもデジタル表示の時代、子どもがアナログの文字盤に触れる機会は激減しました。つまり、読めないのは自然なこと。だからこそ、意識的に段階を作ってあげる必要があります。
最初の壁:長い針と短い針の「役割分担」
時計学習のスタートは、針が2本あってそれぞれ仕事が違う、という理解です。ここを飛ばして「読み方」から入ると混乱します。まず「短い針だけ」を見て「何時」を答える練習。次に「長い針が12ならちょうど、6なら半」の2パターンだけ。この「ちょうど」と「半」が完璧になるまでは、5分きざみに進まないでください。とけいプリントメーカーは「なんじ」「なんじはん」から5分きざみ、1分きざみへと難易度を選べるので、段階に合わせて使えます。
次の壁:長い針の「1目盛り=1分、数字=5分」の二重読み
5分きざみに進むと、文字盤の「3」を見て「15分」と読み替える作業が始まります。これは大人が思うよりずっと高度な処理です。効果的なのは、文字盤の外側に「5・10・15…」と分の数字を書き込んだ時計で練習を始め、慣れてきたら書き込みなしに移行する方法。頭の中で5の段の九九を使っていることに本人が気づくと、一気に安定します。
最大の壁:「時こく」と「時間」のちがい(小2〜小3)
多くのお子さんが本格的につまずくのは、実は時計の読みではなく「時こくと時間」の単元です。「9時40分の30分後は?」のように、60進法のくり上がりが絡む計算は、筆算の感覚が通用しません。ここでのコツは、頭の中だけで解かせないこと。数直線や時計の図をかいて「まず60分の壁(10時)まで20分、残り10分」と2段階に分ける解き方を型にしてください。時こくと時間プリントで、図をかきながら解く練習を重ねるのが近道です。
いちばんの教材は「生活の中の時計」
プリントと並行して、生活の中で時計を話題にする回数を増やしてください。「いま何時?」「あと何分で出発?」「お風呂から40分後は何時?」——1日3回のこの声かけは、プリント1枚に匹敵する練習になります。リビングにアナログ時計を1つ置くだけでも、目に入る回数が変わります。
よくある質問:デジタル表示で育ったけど大丈夫?
「うちはずっとデジタル時計なので手遅れでは」と心配される方がいますが、まったく問題ありません。アナログ時計の読みは、始める時期より段階を飛ばさないことのほうがずっと重要です。実際、小3から始めて1か月で読めるようになるお子さんはたくさんいます。むしろ注意したいのは、大人が無意識に段階を飛ばした質問をしてしまうことです。「ちょうど」と「半」しか習っていない子に「いま9時43分でしょ」と言っても、暗号にしか聞こえません。お子さんが今どの段階にいるかを把握して、その段階の言葉で話しかけてください。また、時こくと時間の計算については、学校の進度より先にあわてて教える必要はありません。それより「あと10分だよ」「30分たったね」と、時間の量の感覚を生活の中で育てておくことが、単元が始まったときの最高の準備になります。
まとめ
時計と時間の単元は、①針の役割 ②ちょうどと半 ③5分きざみ ④1分きざみ ⑤時こくと時間の計算、と5段階の階段になっています。今どの段にいるかを見極めて、その段の練習だけに絞る。デジタル世代のお子さんにとって、これは「教わらなければ知らない外国語」のようなものです。読めなくても焦らず、生活とプリントの両輪でゆっくり階段を上がらせてあげてください。
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