「宿屋」「旅館」「ホテル」。どれも泊まるところを表す言葉ですが、受ける感じはずいぶんちがいます。この三つは、日本語の言葉の種類でいうと、それぞれ和語・漢語・外来語にあたります。小学5年生の国語で学ぶこの単元は、テストでは「次の言葉の種類を答えなさい」という知識問題として出ますが、本当の価値は、場面に合った言葉を選ぶ力につながることにあります。この記事では、見分け方とつまずきやすいところ、家庭での練習法をまとめます。
和語・漢語・外来語・混種語とは
和語は、もともと日本で使われていた言葉です。「やまとことば」ともいいます。山(やま)、花(はな)、歩く、美しいなど、漢字で書く場合は訓読みで読みます。やわらかく、親しみのある感じがあります。
漢語は、中国から入ってきた言葉や、漢字の音読みを使って日本で作られた言葉です。山脈(さんみゃく)、学校、旅館、規則など。かたく、あらたまった感じがあり、短い字数で多くの意味を表せます。
外来語は、中国以外の外国から入ってきた言葉で、ふつうかたかなで書きます。ホテル、ルール、スピードなど。新しさや、しゃれた感じを伴うことがあります。パン(ポルトガル語から)やガラス(オランダ語から)のように、古くから使われていて外来語と気づきにくいものもあります。
そして、これらが組み合わさった言葉を混種語といいます。消しゴム(和語+外来語)、電子レンジ(漢語+外来語)、運動靴(漢語+和語)などです。
いちばんのつまずきは「漢字なら漢語」
この単元で最も多い間違いは、漢字で書いてあれば漢語だと思いこむことです。「手紙」「言葉」「夕焼け」は漢字で書きますが、読みは訓読みなので和語です。和語と漢語を分けるのは、文字ではなく読み方です。漢字の言葉を見たら、まず読みがなを書き、訓読みか音読みかを確かめる手順を身につけさせましょう。
そのためには、音読み・訓読みの区別がしっかりしていることが前提になります。訓読みは、それだけで意味がわかる読み(山=やま)、音読みは、中国の発音をもとにした読みで、それだけでは意味がわかりにくい読み(山=サン)、という見分け方が基本です。ここがあやふやな場合は、語種の前に音読み・訓読みの復習から始めると、つまずきが一気に減ります。
もう一つのつまずきは混種語です。「台所(だいどころ)」は、「台(ダイ)」が音読みで漢語、「所(ところ)」が訓読みで和語なので混種語になります。いわゆる重箱読みの言葉です。「消しゴム」は、「消し」が和語、「ゴム」が外来語(オランダ語から)です。言葉を部分に分けてから、それぞれの種類を考える手順を教えると、混種語に気づけるようになります。
同じ意味の言葉で語感を比べる
和語・漢語・外来語の学習でおすすめなのは、同じ意味の三つの言葉を並べて比べることです。「決まり・規則・ルール」「速さ・速度・スピード」「始まり・開始・スタート」「話し合い・会議・ミーティング」。意味はほとんど同じでも、使う場面がちがいます。
たとえば、「クラスの決まり」は親しみがあり、「学校の規則」は公式な感じ、「ゲームのルール」は遊びの場面になじみます。「どれがいちばんぴったり?」と聞いてみると、子どもは意外なほど的確に答えます。この感覚を言葉にできるようになることが、作文や意見文での言葉選びの力につながります。
作文では、漢語ばかりだとかたく読みにくい文に、和語ばかりだと幼い印象の文になりがちです。読み手や場面に合わせて言葉の種類を選べることは、中学・高校の作文や小論文でも大切な力です。
家庭での練習ステップ
ステップ1:4つの種類と例を確認する。まず、和語・漢語・外来語・混種語の説明と例を一覧で確認します。「山(やま)は和語、山脈(さんみゃく)は漢語」のように、同じ漢字を使った言葉で比べると、読み方で分けることが実感できます。
ステップ2:読みがなを書いて見分ける。漢字の言葉は、読みがなを書いてから種類を答える練習をします。まちがえた言葉は、ノートに種類ごとの列を作って書き分けると、自分の弱点が見えます。
ステップ3:同じ意味の言葉を言いかえる。「宿屋を漢語で言うと?」「規則を外来語で言うと?」と、言いかえの練習をします。会話の中でクイズにすると、楽しみながら語彙が増えていきます。
ステップ4:身の回りの言葉を分類する。最後に、家の中やチラシ、看板の言葉を集めて分類してみましょう。かたかなの言葉が意外に多いこと、混種語がたくさんあることに気づくはずです。教科書を離れて言葉を観察する経験は、言葉への興味を育てます。
外来語の歴史を知ると言葉がおもしろくなる
外来語がどの国から入ってきたかを調べると、日本と外国との交流の歴史が見えてきます。戦国時代から江戸時代のはじめにかけては、ポルトガルとの交流から、パン、カステラ、ボタンなどの言葉が入りました。江戸時代にはオランダとの交流から、ガラス、コップ、ゴム、ランドセルなどが入っています。明治時代以降は、英語やフランス語、ドイツ語から多くの言葉が入り、今では外来語の大部分が英語からのものです。
社会科で歴史を学ぶ時期と合わせて、「この言葉はいつごろ、どこの国から来たと思う?」と話題にすると、国語と社会がつながって、言葉への興味が深まります。辞書の多くは、外来語にもとの言語を示しているので、調べ学習の題材にもなります。
また、外来語の中には、日本で作られた「和製英語」もあります。たとえば「ナイター」や「ガソリンスタンド」は英語圏ではそのままでは通じにくい言葉です。英語の学習が進む中学生にとっては、「外来語と英語は同じではない」と知ることも大切です。語種の学習は、国語だけでなく、社会や英語の学習の入り口にもなる単元です。身近な言葉の「出身地」を探る気持ちで、親子で楽しんでみてください。
なお、和語・漢語・外来語の区別は、言葉の「よしあし」を決めるものではありません。どの種類の言葉にも、それぞれの良さがあります。場面や相手に合わせて使い分けることが、言葉を豊かに使うということです。
テストでの出され方
小学校のテストでは、「次の言葉を和語・漢語・外来語に分けなさい」という分類問題がよく出ます。中学では、混種語を含めた分類や、「同じ意味の和語と漢語を答えなさい」という言いかえ問題、文章中の言葉の種類を問う問題が加わります。分類問題では、漢字の言葉の読みを必ず確かめること、言いかえ問題では、意味がぴったり重なる言葉を選ぶことがポイントです。たとえば「始まり」の漢語は「開始」ですが、「出発」では意味が少しずれます。言いかえの答えに迷ったら、両方の言葉を同じ文に入れて、意味が変わらないか確かめる方法を教えてあげてください。
よくある質問
Q. ひらがなで書く言葉は、すべて和語ですか。
いいえ。「きれい(綺麗)」のように、ふだんひらがなで書いていても、もとは漢語という言葉もあります。迷ったときは国語辞典で確かめる習慣をつけると、辞書を引く力も一緒に育ちます。
Q. 外来語とカタカナ語は同じですか。
外来語はふつうかたかなで書きますが、かたかなで書く言葉がすべて外来語とは限りません。動物の名前(ネコ)や、強調したい言葉を和語でもかたかなで書くことがあります。もとが外国の言葉かどうかで判断します。
まとめ:読み方で見分け、言葉選びに生かす
和語・漢語・外来語の区別は、読み方を手がかりにすれば確実に見分けられる単元です。そして、同じ意味の言葉の語感のちがいを知ることは、作文や話し言葉での言葉選びの力になります。まずは今日、「宿屋・旅館・ホテル」のどれを使うか、場面を変えて一緒に考えてみてください。
4つの種類は和語・漢語・外来語のまとめ表で確認し、語の種類を答える・同じ意味の語を選ぶで練習を。読み方の区別は音読み・訓読みプリント、言いかえの語彙は対義語・類義語プリントで広げられます。